ジャッキー・ウィルソンにジャッキー・ムーア、意表をついてのジャッキー・グラハム。
確かにどれも悪くない。しかし私にとってのジャッキーは・・・そりゃ当然ジャッキー・チェン!!
アクション界永遠のナイスガイも、もはや還暦に手が届くほど。
最近はちょっと小難しい映画で老練ぶりもアピールしたりして。
でもね、ジャッキーといえば、やっぱり若さ全開カンフー作でしょう。
蛇拳に酔拳、天中拳。龍拳、笑拳、蛇鶴八拳。うーむ、どれも名作なんだよなぁ。
見たら確実にマスターしたくなるその吸引力の凄まじさ。
私も幼少期にまんまとハマり、自宅の小部屋で見えない敵と日々闘っておりました。
若くして他界したことで神格化されたブルース・リーに対し、わんぱく小僧感を守り続けるキュートなジャッキー・チェンにこそ、僕は今なお理想の男像を見出しちゃうわけです。
先の“ナントカ拳”シリーズの多くが、ダメな青年が修行を通じて(べらぼうに)強くなるという、メンズ・シンデレラ・ストーリー。そこにベタな笑いとリズミカルなアクションを融合させれば、そりゃぁもうキッズは大興奮なアミューズメント・ムービーになるのは必至。毛嫌いする理由は1ミクロンもありません。
え?お子様向けには興味ねぇ?もっと渋くて強いのが好み?
そんな“無骨マニア”な貴女には、タイトルもゴツゴツな「少林寺木人拳(しょうりんじもくじんけん)」をおススメしましょう。
父親を殺されたショックで話すことができなくなった青年が、洞窟に幽閉された達人に秘儀を伝授され、仇打ちに向かうけれど、その仇こそ実は…というストーリー。
色恋も笑いも一切排除した男気溢れる忘れじの地味作なわけです。
ここでのジャッキーはまだ22歳。まだあのコミカル・キャラも未完成。シリアス風味でのお届けとなります。
この作品の注目点は2点。
①
なんと主役のジャッキーにセリフがない。そう、ほぼ全編しゃべらない。
②
修行の戦いの相手が木人。つまり“木の人”。
王道「ピノキオ」や、「ネバーエンディングストーリー」の喋る木、「トイストーリー」のウッディなど、木人(っぽいもの)が登場する映画は老若男女を虜にする名作揃い。
そう、当ブログでお馴染み「木登りジャケに駄盤なし」よろしく、「木人映画に駄作なし」なわけであります。
そして今作における木人ですが、北欧も驚愕するであろう究極のシンプル・デザイン。
子どもたちが段ボールで再現することを前提としたとしか思えない優しさに満ち溢れた逸品なのです。
ま、能書きはさておき、そのシュール&クールなオープニング映像を体感ください。
木人に影響されたのか、肝心のジャッキーの顔までもがシンプルになっているという想定外の事実は敢えて素通りするのが大人のマナーです。
そして日本公開時のオープニング・クレジットのバックでは、わざわざ日本語のテーマ曲を用意する力の入れよう。いい時代でしたね。
“ミラクル・ガイ”と題されたこの曲、一度聴いたら鼻歌レパートリー入りは確実なアッパーな1曲。もんたよしのりと葛城ユキの中間(ややユキ寄り)級のハスキー・ボイスで、こっちのアドレナリンを絞り出します。
韓流もいいけど、たまにはこういうので体の芯から熱くなってみませんか?
(中野カメオ)
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