9/27/2011

ぼくもデカすよ / ファッツ・ドミノ ●素敵な邦題レコードに駄盤なし!


一部ブログや音楽専門誌などで話題沸騰(?)の「日本盤オールディーズ・シングル図鑑 1954~1964」。


海外ポップス輸入初期のレコード会社の方々のご苦労と、これだけのシングル盤を集めてアーカイブとしてまとめた菅田泰治さんの素晴らしいお仕事に感動します。

(編者の菅田泰治さんは広島のレコード店ジスボーイの店長さんなんですね。ブログアイル・フォロー・ザ・盤 はディープなシングル盤情報も。偶然か、ジスボーイというのにもニヤリです。私が”素敵邦題”で最初に思い浮かべるのがビートルズのThis Boy =こいつ なので)










この本は素敵な邦題満載で、なぜこの英語がこうなった?あり、よくぞこの訳を思いついた!あり、はたまた、なんで??もあり、タイトルだけでいつまでも楽しめてしまうのですが、数ある「素敵邦題」の中でも最も不可解なのがこれ。



 ぼくもデカすよ / ファッツ・ドミノ





















原題は I’m Gonna Be A Wheel Someday.
僕はいつか車輪になるよ?いやいや、wheelには大物という意味がありますので、僕はいつか大物になるよ、ですね。

そこでわからないのが「デカすよ」です。
デカす?なんとなく「デカ」は「でかい」と関係あるのかなという気がしますが、問題は助動詞の「す」です。
「す」は主に使役的に使われますが、そうすると、ぼくもデカくさせるよ?
うーん、ちょっと違うような気がします。

納得いかない私はさらに調べてみましたら、「出来る」を他動詞にすると「でかす」になるというのがわかりました。
古語では「出来す」と書くそうです。普段はあまり使いませんね。
「でかした」などという時の「でかす」なのでしょうか?

僕はいつかやってやるぜ、みたいなかんじでしょうか。
だとするとまぁなんとなくわかりますが、ここまで奇異な邦題をつけなくてもよかったのではないかと思います。


歌詞も見てみましょう。

僕はいつか大物になるよ/いつか最高にイカした奴になるよ/そしたら誰のことも、君のことも必要じゃなくなるさ/高値の花だった君は僕が去ったとき、なぜあの人は私を見ないの?って思うだろう(拙訳)

そうだ!頑張ってデカしてくれ!と応援したくなりますね。


さて、この曲
I’m Gonna Be A Wheel Someday
written by Roy Hayes, Fats Domino, Dave Bartholomew

                Fats Domino @ New Orleans Jazz Fest. 2001

最初のリリースは1957Bobby Mitchell、その2年後19597月にFats Dominoがリリースしています。
ぼくもデカすよ」は195911月発売なので、驚くべき早さです。

それ以降はポール・マッカートニー、シェリル・クロウ、それから最近ではファッツ・ドミノトリビュートアルバムでハービー・ハンコックとジョージ・ポーター、ジガブー、レナード・ポッシェのユニットがカバーしています。

ファッツ・ドミノの代表曲、正真正銘の名曲、名盤、素敵な邦題レコードに駄盤なし!です。


今週の当番:No.3

2 件のコメント:

mitzuko さんのコメント...

この本!私はBoonlogで知りました。イカしてますよね〜。あ、デカしてますよね〜。か?

No.3 さんのコメント...

そうです。そしてBSR誌の日暮さんの記事にもありましたね。完全に二番煎じ、三番煎じです。しかも次号に続く(予定)。まだまだ使えるデカした本ですわ。